運動器ケア しまだ病院
皆さんは、MRIという検査をご存知でしょうか。磁気共鳴映像法(Magnetic Resonance Imaging)の頭文字をとったものでMR画像と呼ばれることもあります。レントゲン検査やCTスキャンと違って、放射線検査ではなくて強力な磁石を使った検査です。十数年前から日本にも普及し、整形外科疾患のみならずいろいろな疾患に対して、有用な情報を提供してくれます。この検査の最大の長所は、痛みを伴わないことと、骨はもとより骨以外の組織の内部まで詳細に示してくれることです。
例えば、腰や首のヘルニアの場合、以前は入院をしていただいたのちに、腰から針を刺して造影剤を注入する「脊髄造影」という検査が行われていましたが、造影剤によるアレルギーや頭痛といった副作用が出る事がありました。MRIができてから、外来でも簡単に検査ができ、脊髄造影は手術をする方にしか行われなくなってきました。また繰り返し検査が行えるため、腰のヘルニアに関しては時間とともに小さくなることもあるということがわかってきました。
膝も同様に、関節内に造影剤を注射して、靱帯損傷や半月板損傷を診断していましたが、MRIを用いると半月板内部の異常や軟骨の損傷、靱帯損傷の場所や程度がわかります。また、レントゲン検査ではわからない骨の内部の損傷も映し出され「骨挫傷」と呼ばれています。肩関節でも威力を発揮します。肩の筋肉の一部が破れる「腱板損傷」や脱臼を繰り返す場合の「関節唇損傷」などが診断でき、造影検査の前にまずMRI検査を行うようになっています。肘の靱帯損傷や、野球肘などでもレントゲン撮影ではわからない情報が得られます。
そのほか、筋肉の損傷、レントゲンではわからない骨の細かいヒビ、骨折などもMRIで診断がつく事があります。
しかし、こんなにすばらしいMRIも魔法の検査ではありません。いきなり「MRIをとってほしい」と言って来院される方もおられますが、MRIをとればすべてがわかるわけではありません。本来あるべき病変が写っていなかったり、症状に関係ないものが写っていたりすることもあります。診察の結果とMRIの所見が合って始めて診断がつき、治療方針が決まります。
当院では、最新の高機能MRIが稼動しています。この機械をフル活用し、皆様のお役に立てればと思っております。ぜひ一度、整形外科医師までご相談下さい。
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