八尾はぁとふる病院
はぁとふるグループ代表 島田永和 |
新型コロナウィルス感染症のパンデミックにより、私たちの生活は大きく変わりました。いつもの日常生活には戻ったものの、どこかで以前と違うということが残っていますね。私たちの職場では、高齢者も多いことから、今でもマスク着用を継続しています。この4月に大学からの派遣の医師が交代したのですが、務めてくれていた二人の医師の挨拶の時に、マスクをしていない素顔を初めて見たような気がして、驚きました。大きな影響があったのだと、些細なことかもしれませんが、強く印象を持ちました。
社会に目を転じると、日本の死亡数と出生数の予想とは大きく異なる結果がでて、私は衝撃を受けました。厚労省の2022(令和4)年の人口動態統計では、出生数は2022年に80万人を割り込み77万747人となり、前年より4万人以上減少しています。速報値によれば、2023年にはさらに4万人が減少したと言われています。一方、同統計によると死亡数は2022年が156万8961人で、前年より12万9105人増加しています。その結果、人口は約80万人減少しています。一年間での減少幅として最大となります。こうした出生率の低下と人口高齢化、高齢者数の増加という傾向は世界全域に広がっています。ロシアのウクライナ侵攻、ガザとイスラエルの戦争といった国と国、民族と民族、国家と国家が憎しみあい、兵器を使って殺戮を行っている現状は、コロナとも関連した経済危機も重なり、社会の安定化に大きな影を落としています。
このような状況の中で、私たちの仕事とも関わって心配になってくるのは、これからの社会保障の問題です。先に述べた人口変化の環境下で、需要の増大が見込まれる一方で、今のままの制度ではその財源が持ちそうにありません。社会保障において、受けるサービスである「給付」と、それを支える税金や保険料、そして窓口負担といった「負担」の関係を見直さねばならないと思うのです。「給付」については、その対象を見直し、全体として減らす一方で、「負担」に関しては、その仕組みを変えて、需要の増大に対応するようにしなければ、高齢者・障害者といった社会的弱者の生活の安定は約束できなくなる恐れが生まれてくるでしょう。
とは言っても、私たちは目の前の困っている方の医療や介護に全力を尽くして行く所存です。その一方で、ケアの提供の効率性を高めながら生産性を上げていく努力もしなければならないと思っています。ケアに関わるスタッフの処遇にも配慮しなければなりません。働き方改革が進められる中、本当に厳しい事業運営が待っています。それでも、「はぁとふるに来て良かったわ。」とお話しいただける方々の表情に勇気をいただき、全員のスタッフとともに一歩ずつ歩んで参りたいと思っています。
どうか、2024(令和6)年度も、私たちはぁとふるグループをご支援いただき、ご指導賜りたいと願っております。同時に、皆様方が元気で健康な毎日を過ごされますこと、心より祈念いたしております。
2024年4月1日
はぁとふるグループ
代表 島田永和
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