Pain Care Center痛みケアセンター

センター長挨拶

長引く痛みは日常生活の質を大きく低下させますが、専門外来が少なく適切な診療を受けられていないこともあり、慢性化することでさらに心理的、身体的、社会的に複雑な悪循環を生じて解決が難しくなります。当センターでは、慢性痛に精通した医師、看護師、理学療法士、作業療法士、公認心理師など多職種が協力し、患者さん一人ひとりに合わせた治療目標を設定し、診療、ケアを行います。長引く痛みでお困りの方は是非ご相談ください。

痛みケアセンターについて

当センターは、長引く痛み(慢性痛)に悩まれている方々に、多職種による総合的な治療・ケアを提供し、その人がその人らしく自分の生活を送れるようにサポートすることを目的としています。

痛みは単なる身体の症状にとどまらず、心理的・社会的な要因とも深く関わります。そのため、薬物治療だけでなく、リハビリテーションや心理療法を組み合わせ、包括的に取り組むことが大切です。

当センターの主な取り組みとして、痛みケア外来があります。

痛みケア外来では、まずは長引く痛みによる苦しみやつらさ、不安、そして、やり場のない不満や怒りといった、これまで抱えてきたお気持ちを聴かせていただくことから始まります。その上で、急性期医療とは異なる視点から、慢性痛の原因や背景を丁寧に評価し、最適な支援方法を検討します。そのため、医師による診察のほか、公認心理師によるカウンセリングや理学療法士による運動指導を組み合わせ、患者さん一人ひとりの症状や状態、目標に合わせて多職種協働で支援を行っていきます。支援においては、患者さん自身が「痛みとどう向き合うか」を主体的に考え、自分らしい生活の改善へとつなげられるよう、セルフケアの方法をお伝えすることも重視しており、患者さんとも協働していきたいと考えています。

残念ながら慢性痛は痛みをゼロにすることは難しいとされています。しかし多角的な治療で痛みを軽減させながら、痛みがあっても自分らしく充実した暮らしを送れるよう、一緒に取り組んでいきましょう。

 

 

慢性痛について

  • 慢性痛とは、3ヶ月以上続く・再発を繰り返す痛みのことを指します。身体の異常だけでなく、神経や脳の働き、ストレスなど心理的・社会的な要因が関わる複雑な症状で、生活の質に大きな影響を与えることが多い病気です。痛い部位だけでなく、全身状態、生活習慣や心理的側面まで含めた総合的な治療が必要とされます。

代表的な疾患の紹介

  • 非特異的腰痛症

    さまざまな検査をしても特定の病気や異常が見つからない腰痛は『非特異的腰痛』として分類されます。椎間板や神経などに明らかな損傷がない一方で、姿勢や筋力低下、ストレスなどの複合的な要因が痛みを増悪させ、長引かせます。適切な運動療法や生活習慣の工夫が有効です。

  • 慢性術後疼痛

    手術後3か月以上続く痛みを『慢性術後疼痛』と呼びます。神経の損傷や炎症、手術前の痛みや心理的要因が関与します。日常生活に支障をきたすこともあり、薬物療法に加え、リハビリや心理的支援を組み合わせた総合的な管理が必要となります。

  • 帯状疱疹後神経痛

    水痘、帯状疱疹ウィルスが再活性化して神経を破壊し、皮膚に水疱を形成する病気が帯状疱疹です。そして皮疹が治った後も、神経損傷による痛みが長く続くことがあり、これを「帯状疱疹後神経痛」といいます。ピリピリ・焼けるような痛みや、衣服が触れるだけで強い痛みを感じるのが特徴です。神経障がい性疼痛の代表的疾患であり、薬物療法や神経ブロック療法、心理的支援などを組み合わせた包括的治療が重要です。

慢性痛に対する治療法

  • 慢性痛に対する治療は、多角的に取り組むことが基本です。中でも、運動療法は慢性痛に対する第一選択の治療法として世界各国で推奨されています。運動によって痛みが軽減することが知られており、運動器ケア しまだ病院では一人ひとりにあわせた方法、頻度、強度を提案していきます。運動療法によって筋力や柔軟性が高まり身体機能が改善され、これも痛みの軽減や再発予防につながります。しかし、やみくもな運動が逆効果になることもあり理学療法士の指導のもと、無理のない範囲で継続することが大切です。
    さらに、心理的支援の重要性は近年強く指摘されており、認知行動療法やマインドフルネスといった心理療法を通じて痛みに関する不安やとらわれを和らげ、生活の質を高める効果が期待されます。
    一方で、薬物療法や神経ブロック療法などは慎重に行うことが望まれます。慢性痛に使用する薬物は一般的な消炎鎮痛薬とは異なり抗うつ薬や抗痙攣薬など特殊な薬物になりますが、副作用や依存のリスクを考慮し、患者さんが有する慢性痛への適用を十分に検討した上で効果を見極めながら使用します。神経ブロック療法などの治療も漫然と繰り返すのではなく、適切に組み合わせることが大切です。
    当センターでは、運動療法を軸に、心理的支援、必要に応じた薬物・介入治療を組み合わせ、多職種が連携・協働して患者さん一人ひとりに最適な治療計画を提案します。

当センターの特長

  • 多職種専門チームによる包括的な評価に基づき、患者さん一人ひとりに最適な治療計画を提案しています

  • 慢性痛による苦痛や苦悩に耳を傾け寄り添う“はぁとふる”な姿勢を大切にしています

  • 運動療法の効果を最大限に発揮するために多職種が綿密に連携・協働しています

  • 患者さん一人ひとりのその人らしさを大切に、その人らしい生活を取り戻すための支援を重視しています

治療の流れ

  • かかりつけ受診・相談・予約

    基本的にご予約はかかりつけ医からご紹介いただき受付を行いますので、まずはかかりつけ医にご相談ください。当センターの受診を希望している旨をお伝えください。

  • 初診・評価

    最初に慢性痛を有するスタッフが詳しくお話をお聞きします。その後、医師が問診・診察し評価を行います。また、公認心理師や理学療法士による専門的な評価も適宜行います。

  • 治療方針の説明

    検査結果や症状などに基づき、多職種で検討して最適と思われる治療計画を立て、それを各職種からお伝えします。

  • 治療開始

    薬物療法・運動療法・心理的支援など複数の支援方法を組み合わせて治療・ケアを行います。

  • 定期評価・終診

    定期的に評価を行い、効果を確認しながら治療方針を調整します。一定の効果が得られた段階で終診に向けて、その後の治療や生活について協働で検討していきます。