秋晴れの心地よい風が吹く10月4日の日曜日に、当院では大規模災害訓練を行いました。もしも今、大きな地震が来たら、私たちは地域の命と健康をどう守るのか——。緊張感あふれる半日間の訓練の様子と、救急・災害対策チーム森嶋マネジャーの想いをお届けします。
今回の訓練は、「午前8時55分に上町断層帯を震源とするマグニチュード7.5の巨大地震が発生し、羽曳野市で震度6弱を観測した」という、現実的なシナリオのもとで行われました。地震の直後には、全館で停電が発生し、非常用電源に切り替わったものの、病院の要である電子カルテシステムが使えなくなるという状況を設定しました。このような非常事態の中で、まずは災害対策本部を立ち上げ、院内の建物被害や患者さんの安全確認などの情報を迅速に集約する手順を確認しました。続いて、次々と訪れる負傷者を想定し、正面玄関前にトリアージエリアを設営しました。ここでは重症度に応じて治療や搬送の優先順位を決める選別・分類を行い、その後、院内各所に設けられた分類ごとの救護所にて、限られた医療資源のなかで一人でも多くの負傷者を救うための治療訓練を行いました。




大規模な災害が起きたとき、ひとつの病院の力だけでは対応できません。そこで今回の訓練では、羽曳野市や羽曳野市災害医療センターとなっている城山病院との連携も実際に確認しました。訓練では、羽曳野市と情報共有を行って門前救護所を立ち上げ、羽曳野市医師会から派遣された医師に、到着後、スムーズに治療にあたっていただくための受け入れ手順を確認しました。さらに、設備被害により緊急手術の対応が難しい重症の患者さん(右下腿開放骨折)が発生したと想定し、災害対策本部から城山病院へ受け入れの要請を行い、実際に救急車を使って安全に転院搬送するまでの実践的な流れも検証しました。災害時に地域全体のネットワークを機能させるためには、こうした行政や医師会、そして病院間の連携が重要になります。平時の訓練を通じて実際にお互いの顔を知り、直接意見を交換しておくことが、いざという時に命を守るスムーズな連携の鍵になると再認識いたしました。

大規模な訓練だったこともあり、準備段階では物品も知識も不足しており、企画を担当した森嶋は手探りの状態で、頭を悩ませていました。専門機関の指導を受けたり、シミュレーションを重ねたりしながら、少しずつ災害対策の知識を深めて当日を迎えました。訓練を終えて森嶋が語ったのは、「災害対応は絶対に個人プレーでは行えない」という切実な思いでした。実際の災害現場では、あらかじめ用意された完璧なシナリオ通りに物事が進むことはありません。形から入って必要物品を完璧に揃えることよりも、今ある資源や人員を最大限に活用し、スタッフ同士がその場で声を掛け合って柔軟に判断していくことこそが求められます。今回の訓練は、まさにそうした現場の対応力とチームワークを磨く貴重な機会となりました。

現場の緊張感を本物へ近づけるため、今回の訓練では特殊メイク(ムラージュ)を施した模擬患者役のスタッフも多数参加しました。リアルに再現された傷口や、痛みを訴える迫真の演技によって、対応した医師や看護師も思わず焦りを覚えるほどで、汗をびっしょりとかきながら一生懸命に応急処置にあたる場面が見られました。こうした本番さながらの雰囲気のなかで訓練ができたからこそ、平時の診療では気づきにくい多くの課題を発見することができました。


災害は、私たちの予期せぬタイミングで突然やってきます。だからこそ当院では、今回の訓練で見つかった課題を一つひとつ整理し、万が一の際にも地域の皆さんの命と暮らしをしっかりと守れる体制を築いていきたいと考えています。この記事をきっかけに、皆さんのご家庭でもいざという時の連絡方法や避難場所について、ご家族でお話ししていただければ幸いです。これからも地域に頼られる病院であり続けるよう努力していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
