ごあいさつ

2022(令和4)年5月

「-設立からの歩みと昨年度のまとめ、そして、これからへ-」

理事長お写真

代表 島田永和

 はぁとふるグループは、「医療法人(財団)はぁとふる(1951<S26>年7月創設)」と「社会福祉法人はぁとふる(2000<H12>年12月)創設」、そして「株式会社はぁとふる(2022<R4>年1月)」から成り立っています。
 医療法人と社会福祉法人は、「非営利」であり、行うことのできる業務が法的に制限されています。そして、利益は、一部のものが懐に収めるのではなく、顧客である患者さんや利用者のみなさんに加えて、内部顧客であるスタッフに還元することが求められています。
2022<R4>年の1月に立ち上げた「株式会社はぁとふる」では、顧客のニーズを現場で感じて、さまざまな対応を検討するものの、法的な制限や非営利の条件から、実施し得ないサービスがあると感じており、それを叶える場としての活用を考えています。具体的には併設のジムを利用したフィットネス事業や健康増進の取り組み、補助具等商品開発や販売、専門スタッフの派遣業務、さらには、保険適用外の脳梗塞や脊髄損傷後のリハビリテーション事業などです。自由度が高い利点を活かし、本体の医療法人や社会福祉法人の事業をサポートし、顧客のニーズに応え、地域のケアの体制に貢献したいと願っています。
さて、本体の事業ですが、具体的には、「医療法人はぁとふる」では、大阪府の南河内圏域である羽曳野市にある「運動器ケア しまだ病院」と中河内圏域の八尾市にある「八尾はぁとふる病院」という二つの病院、そして、「運動器ケア しまだ病院」に隣接する介護老人保健施設 悠々亭において、医療や介護を行っています。
 ここまでの歩みを簡単に振り返ってみたいと思います。「運動器ケア しまだ病院」の前身は「島田病院」です。さらにその前は「桃園荘」という結核療養所でした。1979<S54>年5月に、現在地に移転し、結核病床(180床)とは別に、一般病床(40床)を開設し、内科、整形外科の外来診療も行う「島田病院」となりました。
その後、1988<S63>年4月に、創設者である前理事長島田永廣から、現在代表を務めている私 島田永和が承継し、院長兼理事長に就任しました。結核患者数の減少に従い、徐々に結核病床を減らし、2005<H17>年3月で結核病床を閉鎖し、一般病床40床という、小規模の一般病院として再スタートしました。その過程で、1993<H5>年1月には訪問看護ステーション「ハートパークはびきの」開設し、今のサービス提供体制の礎となっています。
 その一方で、人口の高齢化は着実に進展し、一時は無料にされた高齢者医療の見直しに向け、1982<S57>年に老人保健法が制定され、1986<S61>年の改正で老人保健施設が創設されました。治療が終了しても、身体機能が低下しており、在宅へ戻ることが難しい高齢者を対象に、中間施設としての役割を果たそうと1997<H9>年4月に老人保健施設「悠々亭」と在宅支援センター「悠々亭」を開設し、高齢者の介護事業に本格的に乗り出しました。また、1998<H10>年4月に懸案であったリハビリテーションの実践の場として八尾にある病院を法人に加え、109床の特例許可老人病床を持つ「八尾はぁとふる病院」としてスタートしています。
 2000<H12>年4月介護保険制度が始まったことに合わせて、介護サービスセンター「ゆうゆう亭」、介護サービスセンター「はぁとふる」を開設し、12月には「社会福祉法人 はぁとふる」を設立し、「高齢者生活支援ハウス ゆうゆうハウス」を始めました。
 それからさまざまな制度改正といった外部環境の変化を受けながら、これらのそれぞれの施設は、運動器ケア、リハビリテーション、高齢者介護、在宅ケアなどの分野において、業務を展開し続けています。

 

 こうして、お一人おひとりの人生を考えたとき、その中身が充実し、QOLを保持していただくには、運動器の機能が重要であるという視点から、整形外科に加えて、リハビリテーションや高齢者ケアの分野に対象を拡大していったことになります。「島田病院」では2016<H28>年5月にこれまでの43床に近隣の病院からの病床45床を加え、隣接する土地に病院棟を新築して、増床病棟を地域包括ケア病棟として運営をしています。2017<H29>年1月「八尾はぁとふる病院」はこれまでの回復期リハビリテーション病棟とともに、地域包括ケア病棟となり、その両者の異なる機能を持つ病棟の組み合わせにより、急性期の施設からの転院要請や在宅生活での機能の変化、また、時には、看取りのために、活用いただけるようになって現在に至っております。
 2017<H29>年11月この新築移転を契機に、医療法人名や病院名を変更することになりました。「医療法人永広会」は「医療法人はぁとふる」へ、「島田病院」は「運動器ケア しまだ病院」へ、「Eudynamics はびきのヴィゴラス」も「Eudynamics ヴィゴラス」と変更しました。そして、2018<H30>年1月には、たくさんのゲストや地域の方々にお越しいただき、落成記念式を開催することができました。

 

 さて、2022<R4>年度が始まっています。ご承知の通り、WHOは2020<R2>年3月11日新型コロナウイルスCOVID-19のパンデミックの宣言をしました。国内では、図のように、6回の大きな波を経験しています。このため、診療にはさまざまな影響が出ました。

<図:新型コロナウイルス感染症の国内発生動向>
(厚労省 2022<R4>年4月25日24時時点)

陽性者推移

 

 八尾はぁとふる病院でも、悠々亭でもクラスターを経験し、患者さん、ご利用者さん、そしてスタッフに陽性者が出て、対応に追われました。運動器ケア しまだ病院にも八尾はぁとふる病院からの患者さんを受けて、ゾーニングを徹底し、レッドゾーンでは厳格な感染対策を講じつつ、治療を行いました。
 両病院で行った積極的な地域のワクチン接種への協力を含め、医療・介護機関として、呼吸器疾患が専門ではない私たちが地域でできる最大限のケアを行ったという自負があります。通常の病棟の運用とは異なり、必要な入院をお断りしなければならない時期も経験し、苦しい思いはありましたが、その後の営業活動や効率的な運用により、年度が終わって、赤字を呈することなく、大変な1年を終えることができました。
 図に示すように、運動器ケア しまだ病院では、2600件を超えるこれまでで一番多い手術件数を行っています。

<図 運動器ケア しまだ病院 手術件数の推移 (年齢階層別)>

運動器ケア しまだ病院 手術件数の推移

 まだ、COVID-19感染拡大の前の社会の状態には戻っていません。また、完全に元の通りに戻るとは誰も思えないような気持ちになっています。大きな災禍に襲われた私たちみんなが、新しい、安心できる社会を取り戻すことができるよう、気持ちを落ち着かせ、新年度を進んでいきたいと考えています。
 私たちが担うことができるのは、極めて限られた分野ではありますが、地域の健康につながる活動をさらに充実させていきたいと考えています。
 これからもよろしく、お願い申し上げます。