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1999.06.01
前回は軟骨のすり減りからくる関節炎についてお話ししました。こういった身体の変化は、確かに一種の老化現象の一つではあります。医師の説明というのは、難しいもので、原因を問われて、「分からない」とは答えにくいことがあります(“ええかっこしぃ”なんですね)。そこで、詳しい説明をせずに「年のせいや」とごまかしてしまうことがあるのですね。そう言われると、「年取ったんは事実やからな。あきらめんといかんちゅうことか」と、不本意ながら納得せざるを得ないわけです。
年齢とともに人間の身体にはいろんな変化が起きます。多くのものは、若年層から壮年期に機能的なピークがあって、徐々に低下してくるのは事実です。しかし、年齢と、その方の元気さ度合いは一致しません。年よりも弱った感じのする人と、若々しくて年齢を聞いてびっくりするような人がおられるでしょう。どうして、そんな差が生まれるのでしょう。もって生まれた素質もさることながら、元気な人はそれなりに工夫や努力をしておられるのだろうと思います。膝や腰の不具合も、うまく対処すれば、生活にそれほど影響を与えないようにできるのです。レントゲンの変化にとらわれないで、前回お話ししましたように、膝の周辺の筋力を衰えないように、また、歩くことをさすれないようにする努力を続けることをお勧めします。
実は、軟骨が傷んでこようと、また、元気なスポーツ選手でも、大切なのは、膝への負担と体力のバランスです。これが壊れて、身体が外からの刺激にこらえきれないと関節炎が起こります。急に長い距離を重たい荷物を持って歩いたとか、冷房の空気が直接当たるような場所に長時間座っていたとします。それは、身体に対する刺激です。身体がこの刺激をうまく吸収できる能力があると、関節炎は起こりません。しかし、筋力が衰えて、膝を守ってくれる働きが弱っていると、こらえきれずに関節炎となるわけです。体重が増え、肥満傾向があると、余計に関節炎は起こりやすくなります。対策は、二つです。刺激を避けるか、筋力を強くし、膝を守ってくれる働きをあげるかです。体重を減らし、筋力を付ければ、さらに効果は上がるでしょう。しかし、体重のことばかりに気を取られて、肝心の筋力がつかないというのは、あまり意味がないということを忘れないでください。言い方を変えれば、いくら重い人でも、強い筋力があってバランスが取れておればよいということになります。大相撲の力士たちがよい例かもしれません。
膝の周囲を鍛える一番良い方法は、いすに腰掛けて、ゆっくりと膝を伸ばす運動です。運動は決して痛みのあるときにはしないようにしましょう。安静や湿布、鍼治療、薬などで痛みを取ってから行います。この運動では、途中でやめずに、しっかりと最後まで伸ばすことが大切です。そして、伸びきったら、足首を自分の方へそらすように動かしてみてください。太股の前の筋肉が堅くなる感じがしますね。それが、うまくできている証拠です。下ろすときもあわてずに、ゆっくりと下ろしましょう。あげるときには息を吸いながら、そして、下ろすときには吐くようにして行うとより効果が上がります。片足ずつ、5回ほどやってみてください。どうですか、結構、力の入る運動でしょう? 楽なやり方を探そうとしてはいけませんよ。鍛えるという目的の体操は、少しきついくらいでないと意味がありません。もちろん、体操には、ほぐしたり、伸ばしたりという目的のもののありますから、目的の沿った正しいやり方を意識してください。また、こういった運動はあまり張り切りすぎて、最初からたくさんの回数を急いで行うべきではありません。続かない可能性がありますし、逆に、運動が刺激となって関節炎を引き起こしてしまっては何にもなりません。5回できれば、翌日、6回という風に徐々に回数を増やしていきましょう。
リウマチという病気も関節炎の原因となります。女性に多い病気です。やっかいな病気ですが、誤った知識を持っている方もおられます。次回は、リウマチについてお話しします。