読み物BOOKS

1999.05.01

プチトマト 1999年5月号

 

 前回は、膝に貯まる「水」の話をしました。関節炎になると、普段よりもたくさんの関節の潤滑油が作られて、吸収が追いつかないために、結果的には水がたまり、関節が膨れて痛んだり、張った感じがしたり、動きが悪くなったりするのでした。
 では、関節炎というのはどうして起こるのでしょうか? 一番多い原因は、年を取って、徐々に関節の軟骨がすり減ってくることです。しかし、この軟骨のすり減りは、多かれ少なかれ、誰にでも起こります。でも、すべての高齢者が痛みを訴えているわけではありません。どうして、同じようにすり減っても、痛い人と痛くない人に分かれるのでしょうか? 私たち医師はレントゲン写真を前に、「あんたの膝の内側は、関節の幅が狭くなってるやろ。これは軟骨がなくなってきたからや。それが痛みの原因やで」などと、説明します。確かに、すり減った軟骨が擦りあうと、痛そうです。しかし、実際には、かなりすり減っていても、平気で歩いている人もいます。炎症が起こっているか、どうかが、鍵となります。
 軟骨の下には骨があります。軟骨がなくなり、骨が露出すると、炎症を起こす物質が関節の中へ出やすい状況となります。それが問題なのです。変形した関節でも、炎症さえ起こさなければ、痛みもなく普通に使うことができます。炎症は、膝への負担や刺激をきっかけとして起こります。ですから、関節を冷やしたり、急な動作や負担の強い行動を突然することは、関節炎を引き起こすもとになります。
 一方、そういった負担に負けない強い関節を作ることも大切です。軟骨のことだけを心配せずに、膝の周囲の筋肉をしっかりと鍛えるのです。余計な刺激は避け、体操を根気よく続けるという工夫によって、関節の痛みのために悩むことはかなり防げると思います。
 次回は、軟骨以外の関節炎の原因を考えてみましょう。

>>プチトマト 1999年6月号



一覧に戻る