読み物BOOKS
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1999.04.01
いつも、熱心な紙面作りに、楽しく読ましていただいております。顧問という重責をいただきながら、何もお役に立てることができず、心苦しく感じております。そこで、編集委員の方に、何か医療に関することで、紙面をお借りして、話題を提供させていただけないかとお願いしました。皆様方が治療の上で、疑問に感じておられるのではないかということを、私なりに勝手に想像しながら、書き綴っていこうと思います。「ああそうか」と一つでもうなずいていただければ大成功だと思います。このコーナーについてのご意見・ご要望などありましたら、どうかご遠慮なく編集委員の方にお申し出ください。よろしくお願いします。
さて、今回は膝の水の話です。「膝に水が貯まって医者に行ったら、注射器で抜かれた。でも、癖になるというから心配だ」という話をよく聞きます。いったいその水はどこから来るのでしょうか? 本当に抜くと癖になるのでしょうか? 関節というのは、実にうまくできています。骨の表面はつるつるした軟骨で覆われています。鳥の唐揚げでも焼き鳥でもこりこりしておいしい、あの「ナンコツ」です。関節が動くとき、骨の端である軟骨同志が、擦れ合います。この動きが抵抗なくできるように、関節の中は、普段でも僅かに湿った状態となっています。つまり、少しの水はいつでもあるのです。この潤滑油のような液体は、関節の袋である「滑膜」で作られます。そして、古くなってくると同じ滑膜から吸収され、その分また新しく作られ、バランスが保たれています。ですから、いつでもほぼ同じだけの量に調節されています。ところが、いったん「炎症」が起きて、関節炎となると、滑膜はたくさんの潤滑油を製造してしまいます。吸収が追いつかないために、結果的に「水」が貯まり、関節が腫れるのです。つまり、炎症の結果が「水」ということなのですね。次回はどんなときに炎症が起きるのか、どうすればよいのか考えてみましょう。