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2011.01.01
明けまして、おめでとうございます。良いお正月を過ごされたことと思います。
でも、日本を含めて今の時代、社会は不安定で不確かでみんなの気持ちがまとまらず混乱している時期と感じています。大きな歴史の転換点に差し掛かっているためかもしれません。歴史を振り返ると世界の覇権国家は移り変わってきています。
陸伝いにしか移動する手段のなかった時代、広大な領土を独特の統治の方法でまとめて隆盛を極めたローマ帝国がありました。そして15・16世紀に海洋技術が向上し、船が沿海を動くだけでなくて遠洋に出られるようになるとそれを利用して最初はスペイン・オランダが外洋に出ます。最終的には産業革命で生産力が上がって勢いのあるイギリスが「大英帝国」創りました。それはまさに海を制覇したという感じです。彼らは新しい土地から自分たちの国に必要なもの、人気のあるもの、珍しいものを持ち帰り、膨大な利益を生みます。それが、資本主義につながり、先進諸国の植民地争いが激化し、大規模な戦争が勃発します。
移動手段が陸から海になり、その次に空になるとともに、戦争で使われる武器も変遷していきます。兵士同士の力と力の戦いから、大砲を搭載した船による戦いとなり、潜水艦は海に潜り、飛行機が空を飛び爆弾を投下するようになるわけです。20世紀の科学技術の発達のスピードはすさまじく、ライト兄弟が初めて飛行機で空に飛びたってから宇宙に出かけるようになるのにたった60年しかかかっていないのです。その中で開発された新型爆弾「原子爆弾」を広島・長崎に投下したアメリカが、第二次世界大戦後のソ連との冷戦にも勝利し、富や権力がアメリカに一極集中し、世界の覇権国家になりました。
しかし、脱植民地を掲げた国々の中から、資源ナショナリズムの動きが起こり、オイルショックにつながります。この動きに対抗するようにITと金融自由化が合体して、すさまじい勢いで金融市場が拡大します。物がお金で買われる実態経済に代わり、バーチャルでのやりとりで膨大なお金が飛び回る金融経済となります。そしてそれがはじけてリーマンショックという金融危機が起こりました。
アメリカの覇権は風前の灯火となっています。そこに付け入ろうとヨーロッパはEUでまとまり、中国は二桁の経済成長をバックに軍備を拡大し、次の覇権を虎視眈々と狙っています。
日本でも混乱が続いています。外交では、覇権国家を狙う戦略の中で、周辺諸国の動きが激しくなっています。そして、非常に扱いにくい北朝鮮もリーダーの交代を控えて火種を抱えているようです。これら隣国と良い友好関係を築くために、対話や信頼・友愛路線を提言しても、覇権を狙う中でのせめぎ合いですから、容易なことではありません。内政でも混乱というか、混迷が続いています。大きな期待の中で誕生した民主党政権ですが、「なんだか違うぞ」とみんなが思うようになっています。民主党も期待はずれだとするとこれからいったいどこに、どんな風に期待をして、将来をどのようにするのかますます分からなくなります。私たちのヘルスケアの業界も財源問題が解決しない限り、先が見えてきません。年金・医療・福祉という三つの社会保障の分野は高齢社会になればなるほど、必要な支出が増えることが予測されています。にもかかわらず成熟経済社会で大幅な税収の増加は望めませんし、少子化に加えて人口減少社会での影響はマイナス要因しか思い浮かびません。
依って立つところを失っているような社会で、不安を抱えているたくさんの人達が不安を抱えて生きている時代で、何かの光明を見出すとすると、クリスマスプレゼントの様に目が覚めれば枕元の靴下の中に入っているということを期待することはできません。私達自身で掴むしかないのです。
私たちは毎日何らかの形で人間を相手して仕事をしています。それは目の前の患者さん・利用者さんであったり、業者の方であったり、さまざまですが、私達は実態である「人間」を相手にしています。空想、架空の物は一切なく、そこには困っている患者さんがおられて、途方にくれているご家族にも出合います。そういう実態を相手に仕事しているということが実は本当に大切なのではないかと気付きました。人間と人間が手を携えて一つ困難を乗り越えて行く、その経験が結果的に私達の足元を強くして、今の混迷した時代を切り開くキッカケになって行く気がします。
確固たるものがなくなってきた時代、不安に苛まれることが多くなった時代、こんな時代だからこそ、人間を相手にする仕事は大事だと思います。それが、一部の人間にしか与えられない社会をモデルにはしたくないと私は考えています。今年も私たちなり、毎日、それぞれの現場でケアの実態を積み上げ、経験を重ねていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。