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2016.02.01
昨夜、友人たちと酒を飲みました。いつも参加の友人のF氏の姿がありません。ご出席の奥さんに尋ねると、インフルエンザ(流感)だと言われます。すでに発熱は治まり、元気になっておられるそうですが、担当医から、「症状が治まってから2日間は人と交わってはならない」と指示があり、本日、残念ながら自宅で留守番となったということです。
何で、症状がなくなっているのに、なぜ人との交流を差し止められているのでしょうか?この機会にご一緒に知識の整理をしてみましょう。
そもそも、普通の「風邪」と「インフルエンザ」は何が違うのでしょう? 「風邪」は様々なウイルスによって起こります。風邪を引くと、のどが痛み、鼻汁が出て、くしゃみや咳が止まらなくなったりします。でも高い熱が出たりするような全身の症状はあまりありませんね。インフルエンザウイルスに感染することで起こる「インフルエンザ」では、寒気がして38℃以上の発熱があり、頭痛や関節痛、筋肉痛、倦怠感(だるさ)など全身の症状が現れるのが特徴と言われています。もちろん、普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、咳、痰などの気道炎の症状も見られます。時には、腹痛、嘔吐、下痢といった胃腸症状を伴うこともあります。子供や高齢者ではたまに重症化して、脳に影響が出たり、肺炎になることもあります。
日本では冬になると流行して、学級閉鎖などの報道がありますが、それは短い期間に、人から人へと感染が広がるからです。記録によると、衛生概念が十分に普及していなかった20世紀初頭には「スペインインフルエンザ」によって全世界で2,000万人以上の死者があったと言われています。日本でも約40万人の犠牲者が出たと推定されています。ただ、寒さによって風邪を引くというのは、実は正確な表現ではありません。ウィルスがなければ感染しませんし、熱帯地方でも条件が揃えば、インフルエンザになります。
このような流行は、どのようにして起こるのでしょうか?
「インフルエンザ」が人から人へうつるのは、咳やくしゃみなどでウィルスがまき散らされ、それによる「飛沫感染」が多いと言われています。その他にも、他人の目や鼻や口から直接入ってしまう場合や、ウィルスの付いているものに触れたり、握手のように直接接触することにより起こる場合もあります。そこで、症状がある人は「マスク」をきちんと着用することが、他の人にうつさない予防策として重要です。咳をするとき、口を遮るようにマスクを付けておくことやティッシュペーパーで口を覆うような配慮が要ります。なお、このとき使用した紙はすぐにゴミ箱に捨てて、机に置いたり、他の人が触ることがないようにしなければなりません。
実は、1回のくしゃみで何万個もの飛沫が飛び散ります。インフルエンザ・ウィルスは日光が弱く、低温で乾燥した空気中ではよく生き延びるので、逆に、日差しが入る部屋で室内の温度と湿度を高めにすると自由に動くことができなくなります。具体的には、暖房器具の温度設定を高めにして、加湿器を併用するとよいでしょう。口の中も乾燥しないために、うがいもお勧めです。
しかし、細菌でもウィルスでもたとえ、そうした病原体に接触しても、大切なのは身体の抵抗力です。仕事が忙しくてたっぷり睡眠がとれず、しかも粗末な食べ物で過ごす時期が続くと、跳ね返す体力がなくなってしまうのです。十分な睡眠や休養とバランスのとれた栄養摂取が決め手となります。
感染した人が他人へウィルスをうつしてしまうのは症状が出る前の日から、症状が軽快してのちおよそ2日後までと言われています。私の友人が治まっても2日間は人との交流を避け、私たちの飲み会に参加しなかったのは、誠に正しい医学的な根拠に基づく指導だったことになります。ということは、当然、症状が軽快してから2日ほど経つまでは仕事や学校には戻らず、通勤や通学は控えた方がよいことになります。
ワクチンについては、いろいろ話題がありますが、一つ誤解してはならないことは、ワクチンを打っても病気にならないわけではないということです。重症化を防ぐ目的です。そして、すべての医療行為に言えることですが、100%安全なものなどないということです。ワクチンによる効果とリスクを理解した上で、判断することになりますが、点鼻によるワクチンも開発されており、重症化予防としての効果は期待できると思っています。
インフルエンザを感染した方と一緒に生活しているような方で、高齢者であったり、その他の疾患で抵抗があまりないと思われる場合、予防的に治療薬である薬(オセルタミビル<タミフル>)を処方することが健康保険の範囲内で許されています。ただ、この場合も、この薬による有害事象があることも知っておかねばならないでしょう。
以上、いろいろとインフルエンザにまつわるお話を紹介しました。古くからの言い伝えのように、弱り目に祟り目です。体調管理に気をつけ、抵抗力が落ちないように注意しましょう。そして、仮に感染してしまえば、注意の人にうつさないよう配慮しましょう。