ぶつからない関係は弱い

 誠にサービス業は難しい。大阪にいるご家族に会いに来られた東京在住の方が、日曜日も診てくれるならと、帰りの飛行機の時間を考えて、朝早くから受診の申し込みをされた。待ち時間の長いことは、通院されているご家族からすでに聞いておられての配慮である。残念ながら不手際があり、ご本人からクレームが出た。
 朝一番(7時)に仮受付をすませ、8時半に受付に伺ったところ、診察は9時なので、『外来窓口に9時に来て下さい』と受付にて説明された。8時55分に行くとTさんという女性が『すでに名前を呼んだが返事がなかったから』とおっしゃられ、待たされることになった。もっと初診の者に対する説明があってしかるべきだと思われる。スタッフの慣れすぎではないでしょうか!?9時にと言われれば9時に伺う、事前モン診(原文のまま)が必要ならば、その旨説明すべき!!! それらの理由から時間がなくなりPTの説明(体そう他)がうけられなくなった。
 早速、調査した。看護部の調査結果である。
患者様は、医事科の受付をされた後、医事科で診察の始まる時間を聞いてその場を離れられた。医事科ではその後、問診票をお渡ししていないことに気が付き、何度かお名前をお呼びしたが、不在だったため、看護受付にカルテと問診票を届ける。看護受付では、8時45分より数回お呼びしたが不在。9時に診察開始。始まってすぐに、看護受付にお越しになる。問診票をお渡しすると「医事科の受付では、問診の話は聞いていない。診察で呼ばれると聞いていた」という反応。診察前の問診の意義を再度説明。記入していただき早急に診察に呼び入れる。その後リハ室に案内。いっぱいで再度待つことになる。患者様は、待てないとリハ受付に訴えられるが、順番の変更は無理と説明され、朝対応したスタッフに相談するため医事科に戻る。スタッフは、受付の時点で手違いがあったことを説明するが、リハの待ちを短縮する指示はしなかった。納得できない患者様は医事科に戻り、本日の診察は無かった事にしてほしいと申し出る。(費用は支払わないということ)この時点で事務部長に相談。本人と事務部長が協議の末、診察費用免除となる。クレーム用紙を手渡し、帰る。
 確かに、二つのミス(問診票の手渡し忘れと時間の誤り)によって、不要の待ち時間が発生してしまった。事務部と看護部で対応が協議され、回答が準備された。看護部外来責任者の回答で、ロビーの所定の場所に張り出された。
 外来窓口での不手際により、診察に入っていただく順番が遅れ誠に申し訳ございません。初診患者様に対する当院の手続きは、診察までの待ち時間を減らすため、受付と同時に問診票をお渡しし、カルテ準備の間に問診表を記入していただいております。ところが、今回その手続きで不手際がありました。また、外来での対応として、ご指摘の通り、説明も不足しておりました。本来9時から診察が始まりますので、患者様に看護師から再確認すべきことがあり、8時45分よりお名前をお呼びしております。今回、この15分前のご来院に関するお願いと説明もできておらず、結局来院された時には、他の患者様に対する診察が始まっており、そこからの問診表の記入をお願いすることとなりました。こうした場合、問診票を省略するような臨機応変の対応も必要ではなかったかと反省しております。不愉快な思いをさせてしまい誠に申し訳ございませんでした。今後このようなことが二度と起こらないよう部門間での連携を取っていきたいと思います。
 また、事務責任者は次のように回答した。
 ご意見をいただき、ありがとうございます。また、この度は当院を信頼し遠方からお越しいただきましてありがとうございます。さて、ご意見をいただいた件、非常に恐縮する次第です。お時間の無い中、当院の待ち時間の長いことを察していただき、早朝よりお越しいただき、一番の順番を取っていただいたにも関わらず、対応に不手際があり、その結果待ち時間が長くなり、ご迷惑をかけました。申し訳ありませんでした。原因は受付時の「呼び出し開始時刻の説明不足」と「問診票」をお渡しすること忘れてしまったことであることを確認いたしました。今後は、患者様の受付や応対の中で、決められた手順が正しく行われるように、受付手順の再確認と教育を行います。今回の件、心からお詫びいたしますと共に、今回に懲りることなく、今後ともご利用いただきますようお願いする次第です。
 診療の結果、リハビリテーションの指示を出したわけで、実はこの判断こそが、診療の本質部分である。具体的な運動の指導が、当方の不手際とご本人の都合のために実施できなかったが、診療の半分以上は行われたと認識している。費用負担を免除されたのでは、医師の業務を蔑ろにされているような気分にもなる。しかし、ご本人のお怒りもごもっともだ。あらかじめ、待つことを想定して早めに来院したにもかかわらず適切な説明と誘導がないために肝心の運動プログラムの指導を受けることができなかった。対価を支払う必要はないと主張されると、抗弁しにくい。自費での診療であり、多少、勘ぐる面もあるが、ご本人に、体操プログラムの図示と一緒に、当方の考え方を郵送することとなった。
 施設内での出来事を共有する方策の充実は急務と認識している。さて、みなさんはどのように対応されますか?