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 打撲の時の対処方法

 新世紀、明けまして、おめでとうございます。新しい世紀を迎え、気分も新たに、良いお正月を過ごされたこととお慶び申し上げます。私自身は、元旦に、年賀状に目を通すと、いかに多くの方々に支えられているのかと、今さらのように感謝することばかりです。そのくせ、計画しながら遂行できなかったことがどれほどたくさんあるかを思い起こして、情けない気分におそわれます。そこで、「今年こそは」と決意を胸にしているところです。今年も、この欄では、整形外科で取り扱う病気やケガについて、私なりの考え方を紹介し、皆さんが元気でいつまでも生活されるお手伝いができればと考えております。ネタ切れのときがくることを今から心配しておりますが、今年もよろしく、お願い申しあげます。
 さて、身体に通常ではない力が加わると、さまざまなケガが起こります。打撲、捻挫、骨折、脱臼、肉離れ、突き指などが一般的です。その中では、「打撲」が一番多いケガということになるでしょう。「打ち身」として、お馴染みです。打ったところには、「青あざ」はできます。これは、皮膚の下での出血です。「内出血」ですね。大体、皮膚というのは、皮下に黒いものがあると青く見える性質があります。皮下に墨を注入すと「入れ墨」になります。私も、まじまじと見る機会はありませんが、青光りしていますね。それと、静脈です。これも、心臓に向かって返る血液で、動脈の血液のように真っ赤ではなくて、黒いものですから、血管は青く見えることになるのです。「あおたん」も皮下の出血の黒さが、皮膚を通して青く見えるのです。日にちが経つと、次第に黄色く変化して、そのうちに消えてしまいます。周囲の組織に吸収されていくからです。
 打撲の中でも、いつまでも出血が吸収されないで残ってしまう場合があります。そうした血の塊を「血腫」といいます。あまりに大きな血腫が筋肉の中にあると、その筋肉を使うときに痛みが取れなかったり、十分に曲がらなかったり、力が入りにくかったりといった障害が残ります。そこで、時には、皮膚を切開して、血腫を取り除く必要さえあるのです。打ち身の当座は動かすことが痛いのは当たり前でしょうが、数日しても腫れが引かず、関節が十分に動かすことができない場合は、整形外科医への受診をお勧めします。
 打ち身のときの応急処置として、一番大切なのは「冷やす」ことです。こういうと、「湿布」を思い浮かべる方が多いのですが、「冷やす」ためには、湿布ではなく、物理的に冷却することを考えて欲しいと思います。確かに「冷湿布」は貼った瞬間、びっくりするくらい冷たく感じます。しかし、しばらくすると体温と同じになってしまいますね。つまり、本当の意味で、その場所を冷やす効果は期待できないのです。一方、発熱したときに頭に氷枕をするように、氷を当てれば、直接その場所の温度を下げることができます。
 冷やせば、どんな効果があるのでしょうか? 実は、冷やすことによって、先ほど説明した「内出血」を最小限に抑えることができるのです。打撲による組織の反応である「腫れ」も少なくできます。その結果、痛みを抑えることになりますし、その後の曲がりにくいというような機能障害も予防することが可能です。昔は、良く暖めました。しかし、今はケガしてすぐの時期には、冷やすことが最大の効果を生むと言われています。
 また、打ったところをマッサージするのも良くありません。もっと出血させるようなものだからです。打った場所は冷やして、包帯でも巻いて圧迫、固定し、さらに、心臓よりも高い位置にして休めば、出血させず、腫れを引かせて、症状が早く良くなることになります。
 次回は、打撲に次いで多いケガ、「捻挫」について、お話ししましょう。

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