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知っておきたい 高齢者の脱水予防!!

 「汗をかいていないから・・」「じっとしているから・・」「トイレに何度も行くのがね・・」
 高齢者に水分補給についてたずねると、よく返ってくる言葉です。
水分をとることで、どうしてもトイレに行く回数が増えてしまい辛いという声をよく聞きます。さらに、高齢になると、のどの渇きを感じにくくなるため、水分補給を積極的に行っていない現状があります。
ですが実際は・・・
じっとしていても汗や呼吸、尿や便で2000mlの水分が体から失われています。

1日に最低でも500mlの尿が出ないと不要物が体内にたまり、生命が危険な状態になります。最近テレビなどでもよく取り上げられている脳梗塞の発症については、夏場に一番多いといわれていますが、それは水分が体から不足することで血が濃くなり、脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなるからです。  まして高齢になると身体機能の低下により、もともと体内に溜めておくことの出来る水分量(貯水量)も少なくなります。また、利尿剤や下剤を使用していると脱水の危険も高くなるといわれています。

そこで今回は、在宅で過ごされている高齢者の脱水予防対策を紹介します。

▽ 水分補給の工夫

~1日に2000mlを目安に水分補給が必要~
①1日3食の食事に工夫を!
 汁物 + お茶コップ一杯    × 3食   = (1200ml)
(200ml)  (200ml)
②水分量・ミネラル・ビタミンの多い食事を心がける
おやつにフルーツなどを取り入れることで、水分とビタミンの補給ができます。カボチャやキュウリなど旬の野菜でミネラルやビタミンの補給も取り入れてみましょう。

③急にまとめて飲むのではなくこまめに飲みましょう
規則正しい食事を心がけ、就寝前後・入浴前後・活動前後と意識をしてこまめな水分摂取を行うとよいでしょう

▽ 環境の工夫


~室内の温度にも注意が必要です~
高温多湿の室内で窓を閉め切り過ごされ、熱中症になったという残念なニュースをよく聞きます。
高齢により暑さの感覚が鈍くなることも熱中症になる原因の一つです。脱水予防対策には水分補給と同様に、環境の整備も大切です!

①通気性のよい衣類の着用と室内の風通しをよくしましょう
②扇風機・エアコンを使用し室温調整を行いましょう。室温が上昇しない環境の確保が大切。

~いつでも水分が摂れる環境を~
①水筒などを活用しテーブル上に置いておくなど、すぐに飲み物に手が届く環境を!
②スポーツ飲料などを購入しておく/脱水の疑いを感じたときにすぐ飲めるための対策のひとつです

▽ 気をつけておきたいこと


~認知症のケース~
脱水症状のサインは、口の渇き・頭痛・吐き気・めまい・皮膚の乾燥・体温上昇・だるさ・尿の減少などですが、認知症高齢者の場合、判断力が衰えているため、のどの渇きや頭痛などの自覚も難しくなってきます。環境や着衣の調節を含め、周囲の人は脱水予防に常に注意が必要となります。しっかりと水分摂取の管理をしてあげましょう。

注意:脱水が進行すると、うろうろ動き回る、意味のわからないことを話す、いるはずのない人や物が見える、音が聞こえる(幻聴・幻覚)などいつもと違う症状が急に出現することもあります。
脱水が原因である事は見落とされやすいので、注意が必要です。

~嚥下障害(飲み込みにむせがある方)のケース~
液体にとろみをつけるなど工夫をしましょう。簡単にとろみをつける事が出来るものなどが薬局で市販されています。
最近では、温かい汁物だけでなく、冷たい物にも対応出来るものが出来ています。また通信販売などでも嚥下サポート食などが購入できます。
水の代わりに飲めるゼリーなど様々な商品がでていますので活用してみてください。

~脱水は命の危険があります~
自覚症状が遅れ、症状の進行により体調が急変することもあります。
普段の生活から脱水に注意して過ごしてください。