ビッグ・アイに込められた思いがそのまま会場に

 泉北ニュータウン、泉ヶ丘駅に隣接した国際障害者交流センター「ビッグ・アイ」にて今年も近畿SCD友の会総会が開催されました。会場は、ホームページによると「『国連・障害者の十年』を記念して、全国の障害者の『完全参加と平等』の実現を図るシンボル的な意味を持つ施設として、厚生労働省が整備した」とあります。さらに「障害者自らが行う国際交流活動や芸術・文化活動の場、また、障害者のみならず、広く国民の参加する交流の場として整備され、それらの活動を通じ、障害者の社会参加を促進することを目指しています。」と書かれています。

 そして、このビッグ・アイは、「大きなI(私)、大きなIndependence(自立)、大きなInformation(情報)、大きなIntercommunication(交流)およびInternational(国際的)のそれぞれの頭文字をとったもの。障害者の自立と国の枠を超えた交流の促進を願って名付けられた」ということです。

 このネーミングに込められた思いは、そのまま、この集まりに当てはまる気がします。会場に漂っていた雰囲気、人と人の輪、あちらこちらで交わされる挨拶や気遣いの言葉、ボランティアの方々の笑顔、自信に満ちた専門家の講義、そうしたものすべては、この思いをそのまま形にしたように、私には感じられました。

 「私」は、すべての主人公です。人の人生ではなく、いきている限り、あらゆることは自分を軸に展開します。自分の人生、自分の肉体、自分の家族、自分の病気、自分の障害、自分の将来、すべては、人のものではなく、自分のものです。まさに、ビッグ・アイ(I)ですね。

 そして「自立」。障害のあるなしにかかわらず、現代社会では、人は自分で選択する自由を保障されなければならないと思います。そこで、いくつかの選択肢から自分の判断で選択・決定し、その結果に関しては自分も責任を背負うということが、「自立」した人間の条件ということになるでしょう。人は一人では生きてはいけません。お互いが何らかの形で助け合うのですが、助けてもらうことを自分で選択することも権利であり、自立の一つの形です。そこで必要となるのが「交流」であり「情報」です。ものごとを判断し、選択・決定するには、その根拠が必要です。それが「交流」から生まれる「情報」ということなのだと思います。

 この会場で、近畿SCD友の会の総会が開催されるというのは、誠に本来の目的に沿ったことだと改めて確認できました。今年もたくさんのご参加で盛りだくさんの企画、さぞ有意義な一日を過ごされたであろうと想像すると共に、ご準備に当たられた役員の皆様方のいつもながらの熱意とご配慮に、心から敬意を表するものです。

 本当にご盛会、おめでとうございます。

 さて、ビッグでない小柄な私は、この会場とよほど相性が悪いのか、近くまで順調に来ながら、最後の角での曲がり方を間違えてしまい、ようやく到着しても駐車場は満車で入庫できず、気分は最悪の状況で、別の駐車場へ移動、焦る気持ちを抑えて、参加させていただきました。前に席が設けられていることで、隠れようもなく、こそこそと席に着きました。こうした事情で、残念ながら、すべてのご挨拶を聞くことができませんでした。お恥ずかしい限りです。申し訳ありません。

 会場では、多くの方とお話しできました。こうして直接お顔を合わせるのは、本当に喜びとなります。「やぁ。久し振りですね」と何人もの方とご挨拶ができました。愉快な言葉もかけていただきました。「相変わらず、変なヒゲおまんなぁ」「ちょっとは伸びたかなあぁ?」「長さは変わらんけど、えらい白いもんが目立つなぁ」「ほっといてんか」

 中には、「先生の顔見たら、何かホッとすんねん」と嬉しい反応もありました。でも、ひょっとしたら私の聞き違いで、「ホッと」じゃなくて「ボーっと」かもしれません。そう気付くと、「ボーっとする顔ってどんな顔やろ」と自問自答して、おかしくなって、一人で笑ってしまいました。

 「また、来年も、楽しい出会いがありますように」と、ビッグ・アイの奇抜なデザインの建物を振り返りながら祈っていました。有り難うございました。