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ごあいさつ

これからの医療安全管理

 相次ぐ医療事故報道のなかで、国民の医療に対する不信感はかつてないほどに大きくなっています。医療事故が減らないのは、医療機関が安全対策を怠っているからではありません。多くの医療機関では、以前にも増して安全管理システムを整備・強化し医療事故防止に尽力しているのが実情です。にもかかわらず、次々に医療事故が発生する現実を見れば、現在の医療安全の在り方そのものを再考しなければならない時期に来ています。


 医療事故のほとんどが、ヒューマンエラー※1(人間がおかす誤り)に関連するものです。医療安全管理委員会では、ヒューマンエラーは、システムや医療環境の欠陥によってもたらされた「結果」であるという認識に立ち、病院挙げてシステムや医療環境の改善に取り組んできました。しかし、実効性に関しては、他の多くの医療機関同様、いまだ満足のいく段階には達していないと考えています。


 医療が高度化し複雑化する中で人間が介在する作業が多くなればなるほどヒューマンエラーの機会も増加します。このような状況を考えると、医療者側から患者さまへの一方通行的な安全対策だけでは、いくら努力しても十分な成果は得られないでしょう。


 医療安全管理の実効性を高めていくためには、患者さまおよびご家族の医療参加を促進し、医療安全の協力者として積極的に関わっていただくシステムを構築していく必要があると考えています。そのためには医療内容の説明を徹底すること、医療内容を標準化し医療者間だけでなく患者さまとも情報を共有化し医療の透明性を高めていくことが必要です。


 「医療安全の基本的な考え方」を院内掲示し、「安全管理指針」を閲覧可能にしたのもこのような考え方に基づくものです。さらに当院の医療安全に対する考え方をホームページに公開することは社会的な評価を問われることでもあります。みなさま方の忌憚のない御意見を拝聴できれば、当院の医療安全管理の質をレベルアップできるのではないかと期待しています。


 安全で安心できる医療を受けたい、早く健康を回復したいという患者さまの願いは、医療事故を防止し安全かつ良質な医療を提供したいという当院の願いと共通しています。患者さまおよびご家族に対しては、医療者(医療供給者)と患者(医療受給者)という対峙する関係ではなく、ともに医療安全を推進するパートナーとして私ども職員とともに安全管理に参加していただきたいと考えています。医療者と患者さまとの相互信頼をもとに患者さまが医療参加できるシステムを構築することができるならば、真に患者本位、患者中心の医療が展開できると確信しています。医療安全管理もこのようなチーム医療の中でこそ、より充実したものになると確信しています。ぜひとも患者さまおよびご家族のご協力をお願いいたします。



医療安全管理委員会
委員長 勝田 紘史

※1 ヒューマンエラー: 医療安全に関する用語の項参照

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