耐性菌防止の戦略 Ⅲ

 今回は、3つめのカテゴリーとして「賢く抗菌剤を使う」についてご紹介いたします。

3.賢く抗菌剤を使う

★根拠が不明なまま使用される事を防止するために、抗菌剤を管理する。
(1)効果的な抗菌剤の使い方を改善する計画を立てる。

例えば「抗菌剤ガイドライン」を施設独自の物を作成し、それを徹底させようとする試みが改善につながります。当院でも、現在作成中です。

(2)地域の細菌分布や感受性(菌に効果がある抗菌剤を調べる検査)を知る。

地域の有病率や人口密度、病院数そして入院期間は変更することを知らなければなりません。外来患者さまの状態を知って適切に抗菌剤を選択するためには、地域の人口や抗菌剤の使用状況を知っておく必要性を強調しています。

(3)抗菌剤は、感染症に使用することで「汚染」には使用しない。

培養検査(原因となる菌を調べる検査)の取り方に問題があれば汚染した結果がでます。抗菌剤を使用するのは治療のみに使用する物であり、抗菌剤の使用は、この判断が重要です。培養検査をするときにも、汚染させないようにつまり誤った検査結果を出さないために慎重に行うことと、検査結果のみに頼らず必ず患者さまの症状を見て総合的に判断する2つの注意を呼びかけています。

 どうして、ここまで厳重に抗菌剤のことを言うのか?それでは日本はどうなっているのか?と疑問が湧いてこられるのではないでしょうか?それは、米国は日本に比べ耐性菌の検出率がとても高く深刻な問題になっているからです。それなら、今のうちに私たちが適切に抗菌剤を使用していれば日本の国民は救われるのではと私は思っています。

次回も「続 賢く抗菌剤を使う」を提供いたします。

法人事務局 感染安全管理担当
感染管理認定看護師 森下 幸子